Niemann-Pick Type C Suspicion Index

NP-Cについて

5歳以上の症状

以下に示す症状は、5歳以上のNP-C患者において疾患検出力を有する十分な症状・兆候です。

: 疾患を検出する7つのキーとなる症状・兆候
NP-Cのキーとなる症状・兆候についてのビデオを見る

神経症状

後天性で進行性の痙性麻痺

痙性麻痺は、不随意的で速度依存性の筋緊張増加を特徴とし、痙性麻痺による運動制限が生じます。痙性麻痺は、多くの神経障害疾患で認められる症状で、NP-Cの予測因子として弱いものです。

失調/不器用さ/頻回の転倒(ビデオを見る)

失調は、目的とする運動ができなくなる神経障害で、四肢の協調運動障害のために、患者さんには歩行不安定や歩行障害がみられます。他の関連症状としては、急速交互運動ができないという症状があります。患者さんは、小児期に自転車に乗ったり、スポーツ活動が困難になったり、不器用さに気づかれることがあります。不器用さのみられる患者さんは、手書きやはさみを使うなどの微細運動が困難になることがあります。失調はNP-Cでよく見られる症状ですが、NP-Cに特異的なものではなく、その他の神経障害でも認められる症状です。


失調


総合運動障害

発達のマイルストーンの遅れ(発達遅滞)

“発達のマイルストーンの遅れ”は、子供の発達遅れについてまとめて表す一般的な用語です。あらゆる身体部位で見られると考えられ、特に微細運動や粗大運動の遅れ、言語習得の遅れに影響します。発達遅滞は他の疾患でも認められる症状で、NP-Cの予測因子としては弱いものです。

構音障害や嚥下困難(ビデオを見る)

構音障害は、口の筋肉を協調させることができないことから、話し方が不明瞭で流暢ではない点が特徴です。構音障害のある患者さんは、発話の速さ、大きさ、リズム、声の質をコントロールすることが困難な場合があります。

嚥下障害は、脳幹と前頭葉にある飲みこみに関連する機能障害が原因で、飲みこむことを困難に感じたり、唾液を貯められなくなったり、鼻に逆流することから初期症状の自覚にいたります。最終的には、気管に異物を吸入してしまうことによる咳や窒息(詰まり)で誤嚥性肺炎になり、多くのNP-C患者さんが亡くなっています。
構音障害・嚥下障害は、5歳以上のNP-C患者さんにおける中等度の疾患予測因子とされています。


構音障害

嚥下障害

ジストニア

ジストニアは、四肢の不随意筋が過剰に収縮することによっておこる、四肢の異常な動き および/または 異常な体勢です。NP-Cの予測因子として特異的なものではありませんが、発症が遅いNP-C患者さんでは非常によくみられる症状です。ジストニアは、単独で症状がでることは稀で、失調と合併して見られることが通例です。

笑うと力が抜けるカタプレキシー(ビデオを見る)

笑うと力が抜けるカタプレキシーは、突然の一時的な脱力発作で、強い感情、特に笑いによって引き起こされます。症状は、突然に頭をがくんと前屈して全身が脱力するものから転倒まで、程度はさまざまです。笑うと力が抜けるカタプレキシーは、NP-Cの予測因子として強いもので、NP-Cあるいはナルコレプシー以外で笑うと力が抜けるカタプレキシーが認められることは非常に稀です。


カタプレキシー

筋緊張低下

筋緊張低下は、運動神経が制御されなくなることによって生じます。運動能力の遅れ、関節の動きや伸びが大きすぎること、よだれ、発語困難、反射神経の低下、筋力低下、姿勢不良などの多くの異なる症状として表れることがあります。

筋緊張低下は他の疾患でも認められる症状で、NP-Cの予測因子としては弱いものですが、中枢性筋緊張低下は低年齢のNP-C患者さんに最初にみられる神経症状の一つです。

ミオクローヌス

ミオクローヌスは、単純な不随意筋痙攣を特徴とします。神経疾患の中にはミオクローヌスが認められるものもあるため、NP-Cの予測因子としては弱いものとなります。ミオクローヌスの症状がみられる患者さんは、他の神経症状を合併している可能性があります。

痙攣(部分または全身性)

痙攣は、ひきつけとしても知られており、脳神経の異常な活性 および/または 同調が生じることにより起こります。部分的な痙攣は、脳の局所作用によって生じ、患者さんの意識がある状態で見られることが多く、全身性痙攣は左右の脳半球が関与して起こります。痙攣は他の神経疾患でもよく見られるため、NP-Cの予測因子としては弱いものと言えます。

垂直方向の核上性注視麻痺

垂直性核上性注視麻痺(VSGP)は、下方への目の動きが緩慢になることで始まる、垂直方向への衝動性眼球運動障害です。さらに進行すると、上方への目の動きにも障害が見られ、最終的には自発的な垂直方向の追視ができなくなります。また、垂直方向のみではなく、水平方向の動きも影響をうけ、全方向性の麻痺となる場合もあります。

VSGPは、NP-Cの臨床経過におけるあらゆる時点で生じる可能性があります。またVSGPは、NP-Cの予測因子として非常に強いものであることがわかっており、他の疾患予測因子と合併する場合には、NP-Cが強く疑われる要素となります。VSGPは神経症状の中では初期に出現するため、以下の2検査を行うことが非常に重要です。

  1. 追視運動
    上方向、下方向へ動くものを追視できる
  2. 衝動性随意運動
    患者さんの視野の範囲内(頭より上の位置と、胸のあたりの位置)で、位置を離して固定した指標を交互に見ることができるか。

さらなる情報や眼球運動検査についてはNeurOcular.comにアクセスしてください。


VSGP

精神症状

青年期または幼児期における破壊的で攻撃的な行動

青春期あるいは幼児期における破壊的で攻撃的な行動は、NP-Cの予測因子として補助的なものと考えられており、疾患特異性は低いものと言えます。

若年性知的退行や認知症

若年性知的退行(成人患者においては認知症)の発症初期の症状は、学校や仕事場における学習障害や行動障害として現れることがあり、乳幼児では、発達の遅れが認められることがあります。他のキーとなる症状と組み合わせることで、若年性知的退行や認知症は、5歳以上のNP-C患者における強い疾患予測因子で、年をとるとともに全ての患者に影響がみられる症状です。

精神症状(幻覚/妄想/思考障害)

非典型的な精神症状(通常、器質性精神障害の症状)は、性質が患者群、患者の年齢群で大幅に変わりますが、青年期や早期成人期のNP-C患者によく見られます。

精神症状は、NP-Cの予測因子としては中等度予測力に留まるものですが、その他のキーとなる症状と併発する場合、NP-Cが強く示唆されます。

治療抵抗性精神症状

精神症状の治療にもかかわらず、明らかな治療抵抗性の精神症状が認められることがあります。

内臓症状

胎児水腫

胎児水腫は、2ヵ所あるいは3ヵ所以上の部位に異常な体液貯留が認められる場合を指します。

原因不明の脾腫(病歴または現在。肝腫大の有無を問わない)

単独で発現する原因不明の脾腫(肝腫大の有無を問わない)は、NP-Cの予測因子として最も強いものです。臓器腫大は触診で容易に確認でき、超音波検査での検出も可能ですが、臓器肥大は高年齢の患者さんにおいては頻繁にみられない症状です。

原因不明の遷延性新生児黄疸、または胆汁うっ滞

原因不明の遷延性黄疸あるいは胆汁うっ滞の病歴は、NP-Cの強い予測因子で、早期幼児期発症あるいは後期幼児期発症の患者さんに認められることが多いものです。

胎児腹水のある兄弟姉妹

胎児腹水は、稀に認められる腹膜腔液の異常な蓄積です。

家族歴

(の2つの症状は、検出のカギとなる症状として組み合わせられます。)

NP-Cのいとこ

NP-C確定診断となったいとこがいる場合には、NP-Cを疑うべきです。

NP-Cの親または兄弟姉妹

NP-C確定診断となった近親者がいることはNP-Cを疑うカギとなり、NP-Cを強く示唆すると考えられます。

 

Nicholas Smith先生(Cambridge大学医学部小児神経代謝)、Jacki Impie先生(Royal Manchester Children’s 病院NP-C臨床看護スペシャリスト)監修のNP-Cの神経症状を紹介する動画が作成されました。なおこの動画は、JE Wraith教授を始めとして、出演された患者さんとそのご家族の多大なサポートのもとに制作されました。