Niemann-Pick Type C Suspicion Index

NP-Cについて

4歳以下の症状

計38の症状について評価し、そのうち10症状でNPCあり、なしの検出力が確認されたことに基づいて、最終版のサスピションインデックス項目は、これら10症状のみとしました。

早期発症のNP-Cで見られるいくつかの症状がありますが、検出力を有さないために、インデックスには含みませんでした。そのため、NP-C SI の4歳以下用は、対象年齢における全ての臨床的特徴で構成されているわけではありません。4歳以下の患者さんにおけるNP-Cを疑う際に考慮すべき全ての症状については、Pineda et al. の論文を参照。

中枢神経系の症状

失調

失調は、目的とする運動が円滑にできなくなる状態です。乳児においては、不器用さ(統合運動障害)や転びやすさ、自転車やスポーツ、ゲームといった、体を使う活動に困難が生じるといったことから判明します。

失調は、乳児を含め、NP-Cの患者さんでよく見られる症状です。

発達遅滞

“発達遅滞”は、子供の発達における遅れを包括する一般的な用語です。発達遅滞、特に微細運動や粗大運動の発達遅滞は、あらゆる疾患で生じたり、動作調節など、これまでにできていたことができなくなることも見られる可能性がありますが、これらは多くの疾患で起きうることから、NP-Cの予測因子としては弱いものと言えます。このように、NP-Cと他の疾患の検出力が十分でないことから、新NP-C SI4歳以下用には前述の症状は項目に含まれていません。しかし、幼児で初めてNP-Cを疑う際には、重要な臨床症状の一つとなります。

カタプレキシー

笑うと力が抜けるカタプレキシーは、突然の脱力発作として定義され、強い感情、特に笑いによって引き起こされます。脱力は、一時的であり、突然に頭をがくんと前屈する、倒れる、全身の脱力によるエピソードといったものまで見られます。

笑うと力が抜けるカタプレキシーは、NP-Cの疾患予測因子です。NP-Cあるいはナルコレプシー以外で、笑うと力が抜けるカタプレキシーが認められることは非常に稀です。

筋緊張低下

筋緊張低下は、運動神経支配の障害による筋緊張の低下です。運動能力の遅れ、過動または過伸展な関節、よだれ、発語困難、腱反射減弱、筋力低下、姿勢の不良など、多くの異なった徴候がみられることがあります。

筋緊張低下は、NP-Cの予測因子としては弱く、さまざまな多くの疾患で認められることから、NP-Cと他の疾患の検出力が十分でないとして新NP-C SI 4歳以下用の項目には含まれませんでした。しかし、中枢神経性の筋緊張低下は、NP-Cの若年患者において初期に認められる神経症状の一つです。よって、年少NP-C患者(前期幼児期の患者)で最初に疾患に気づく症状である可能性があります。

知的退行

知的退行は、若年性認知低下あるいは認知症として、高年齢の患者に認められます。発達マイルストーンの遅れは、前期幼児期において初期に現れる兆候ですが、学習障害や行動障害として気づくこともあります。

垂直性核上性注視麻痺(VSGP)

垂直性核上性注視麻痺(VSGP)は、垂直方向を注視する際に生じる眼球の運動制限のことで、発症初期は下方を見る目の動きが遅くなるケースが多く、その後上方向への目の動きにも障害が見られるようになります。このようにVSGPは、最終的には自発的な眼球の上下運動障害にいたります。垂直方向のみならず、水平方向の眼球運動にも障害が見られる場合もあります。

VSGPは、NP-Cのどの発症時点においても生じる可能性があり、早期の段階で気づくことができる神経症状です。しかし、眼球運動検査を実施した幼児(眼球症状が弱い年齢群)においては、若年患者群と比較して、衝動性眼球運動の特定が遅れる可能性があります。
詳細情報および衝動運動障害の検査方法についてはこちらNeurOcular.com

家族歴

NP-Cの親または兄弟姉妹

家族がNP-Cと診断されていることは、他にNP-C特定の神経症状や行動異常(例えば発達遅滞)がない場合でも十分キーとなる疾患検出要素となるため、家族歴がある場合は診断のための検査を進めてください。

肝症状

直接型高ビリルビン血症

血中の直接型ビリルビン値上昇(抱合型ビリルビン>1.2 mg/dL および/または ビリルビン値合計>30%)が2週間以上続く場合は、幼児期NP-Cを疑ってください。

肝腫大

肝腫大はNP-Cに見られる症状で、非常に頻度が高いものです。なお、脾腫を伴わない肝腫大も稀にあります。

原因不明の遷延性黄疸

2週間以上継続する説明のつかない新生児胆汁うっ滞は、NP-Cを強く疑う因子です。

肺症状

肺浸潤

肺浸潤は、幼児期NP-C、特に早期発症型やNPC2遺伝子異常が認められるNPC2 型において、疾患を示唆する重要な要素とされています。血液や膿、細胞が肺実質に蓄積し、肺炎や結核、心内膜炎を発症します。

周産期および新生児期に見られる症状

胎児水腫または腹水

胎児水腫とは、胸膜、心膜、腹膜腔、軟部組織などに体液が異常に貯留するもので、稀に認められる腹膜腔液の異常な蓄積です。これらはNP-Cの予測因子として弱いものと言えます。

脾臓の症状

脾腫

脾腫は、早期発症NP-Cにおいてもっともよくみられる特徴で、肝腫大の有無に関わらず認められます。NP-Cの強力な予測因子です。